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初回口唇形成 | 口蓋形成不全がある場合 生後、間もなく口蓋床を入れる | 哺乳、離乳など育児上の助言 | ||||
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初回口蓋形成 | 虫歯の予防治療 | 必要に応じて 耳鼻疾患の治療 |
精神運動発達の評価 構音、鼻咽喉閉鎖 機能の評価 必要に応じて発音の練習 |
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必要に応じて口唇鼻形成 必要に応じて口蓋再手術 |
歯科矯正 | |||||
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顎裂部骨移植 | ||||||
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最終的口唇鼻修正 | 補綴治療 |

海外では外科医、耳鼻科医、歯科医、言語聴覚士等で口蓋治療チームを組んでいるところがあります。定期的なフォローアップでは、同じ日に各々の専門家が診察し、診察後みんなでテーブルを囲んで今後の方針を話し合います。それをコーディネーターがまとめて患者さんと家族に連絡し、必要な治療を進めていきます。
日本でもそのようなシステムが出来ると良いのですが、現実にはテーブルを囲んで話し合う所まで、難しいようです。従って、誰か中心になって治療の相談にのってくれ、他の専門家とも連絡を取ってくれる人を決める必要があります。その条件は「最良の治療を受けるために」をご覧ください。

また飲む量は個人差がありますので、赤ちゃんのペースであせらずに飲ませましょう。

寝かせて飲ませるより、赤ちゃんの上半身を起こしたほうが飲ませやすい。 |
唇形成不全の部分を寄せるように外科用テープを貼ったり、お母さんの指でふさぐようにして飲ませる。 |
乳首の孔を適当に大きくしたり、やわらかめの乳首を使う。 口蓋形成不全用の乳首も市販されている。(注) |
飲み終わってもすぐには寝かせず、ゲップをよく出させてから寝かせる。 |
上顎に形成不全をカバーするようなプレートを入れる方法もある。 |
ピジョン :P型乳首
チュチュベビー:口蓋形成不全用乳首
ヌーク :口蓋形成不全用乳首
その他にもありますので、大空会にお問い合わせください。

手術は形成外科医、口腔外科医が担当しますが、最初の手術が肝心ですから経験を積んだ医師・歯科医師を選びましょう。
術後しばらくは点滴もありますし、赤ちゃんが傷口に触らない様腕輪をはめておきます。赤ちゃんのためにもお母さんが付き添われてほうが良いと思われます。

最近、手術による上顎の発育障害をおさえるため、口蓋を2回に分けて手術を行う施設もあります。その結果についてはまだ意見が統一されていません。2回に分ける場合はどのような経過をたどるのか、利点と不利な店をよく聞いてみましょう。
手術は形成外科医、口腔外科医が行います。やはり経験を積み、軟口蓋の機能(鼻咽腔閉鎖機能)を良く理解している医師・歯科医師を選びましょう。また術後、ことばのフォローができるかどうかも選択の一条件となります。
術後しばらく点滴が続き、舌が腫れて呼吸が苦しくなったりすることもあります。赤ちゃんの不安を和らげるためにもお母さんが付き添われたほうが良いと思われます。

口蓋形成不全の初回手術後、成長に伴って左右の非対称や傷跡が気になることもあります。小さい修正手術は幼稚園や小学校に入る前にもできますが、鼻の形を治したりする手術は、大人の顔だちになるのをまって10代の中頃以降に行われます。どこまで手術するか、いつ頃するかは、本人の意向を尊重し話し合って決めましょう。

薬や耳管通気治療で改善しない場合は、鼓膜に細いチューブを通す手術が必要となることがあります。幼少時は全身麻酔下でおこなわれるので、他の修正手術と同時にできないか検討してもらいましょう。浸出性中耳炎に移行する可能性もあるので、こまめに治療することをお勧めします。

矯正歯科は歯並びを治療するところですから、虫歯の治療は一般歯科か小児歯科にかかります。歯を抜く場合は、その前に矯正歯科の先生に相談してください。

治療は矯正歯科医が担当します。一般の歯列矯正は実費になりますが、唇形成不全・口蓋形成不全に伴う歯列矯正は保険が使えるようになりました。また育成医療を申請することもできます。育成(更生)医療指定医療機関になっている矯正歯科医のリストが地域の保険所や親の会にありますので、お問い合わせください。
顎の矯正は6〜7歳頃から、歯列の矯正は永久歯の生え揃う小学校の高学年から始まります。最近、歯茎の形成不全のところに腰骨を移植する手術が広く行われるようになりました。この手術は8〜12歳頃が最適とされており、しっかりした歯茎ができれば自分の歯をそこへ移動させて歯列を整えることが可能になります。手術は口腔外科医、形成外科医が行いますが、術前術後の歯列矯正が必要ですので、時期については矯正歯科医と連絡を密にとって決めていきます。

開鼻声や発音の異常が認められる場合は、早急に鼻咽腔閉鎖機能の検査をして対策を立てる必要があります。検査は息の鼻漏れの程度を測ったり、話しているときの鼻咽腔の様子をレントゲンで透視してビデオにとったり、鼻咽腔フィバーで観察したりして、総合的に判断します。これは口蓋形成不全の手術をした医師と言語聴覚士が協力して行います。
言語聴覚士の役割は、術後のことばのモニターや鼻咽腔閉鎖機能検査だけではありません。赤ちゃんのことばの発達は生まれてすぐから始まっているので、できるだけの早い時期から発達の援助をしていきます。また3〜4歳を過ぎると、必要に応じて発音の練習も行います。定期的にことばの練習に通院するのが困難な場合は、近くの病院や学校のことばの教室と連携して進めていきます。

(Reported by 藤原百合)